ベトナムへの輸出を検討中なら必見!経済動向と食品市場を徹底解説

ベトナムへの輸出を検討中なら必見!経済動向と食品市場を徹底解説
ベトナムの人口増加・経済成長

「海外進出先としてベトナムを検討しているけど、実際どうなの?」

ベトナム経済や食品市場について、ネットで調べても知りたい情報がヒットせず、お困りではないでしょうか?

海外への輸出を検討する上では、現地での市場調査が最重要ですが、大前提として、その国の経済や市場規模、成長性を、定量的に把握することが欠かせません。

そこで本記事では、ベトナム事業歴10年、洋菓子事業・海外進出支援事業を営む筆者が、ベトナム経済・食品市場の状況や見通しについて、現地で得たリアルな知見を交えながら、解説していきます。

【マーケットの魅力】ベトナムの人口増加・経済成長

ベトナムって、輸出先としてどれだけ魅力的なの?と疑問に思われる皆様に、ベトナムの人口動態や、経済成長の状況について解説していきます。

ベトナムの人口

ベトナムの人口は、2023年4月に1億人を突破し、日本の人口に迫る勢いで増加しています。

労働力人口は、約5,056万人(2021年)で、平均年齢31歳(2021年)と若いことが特徴です。

ホーチミン市などでは、合計特殊出生率が低く、近い将来高齢化が懸念されていますが、それでも、日本と比べると、若い世代が経済を牽引しているといえます。

さらに、注目すべきなのが、富裕層人口の増加です。

2020年時点、年間所得35,000USD以上の富裕層が2.9%で、直近10年間で富裕・ミドルアッパー層の割合が2倍以上増加するなど、購買力が高い人口が年々増加しています。

ベトナムの経済成長

ベトナムの名目GDPは約4,060億ドル、経済成長率8.02%(2022年)と高い水準で成長しています。

ベトナムの一人当たり名目GDPは、4,086USD(2022年)です。

現時点では、日本の一人当たり名目GDPの8分の1程度ですが、人口増加や、購買力の高い35-59歳の割合増加によるGDP成長は今後も期待できます。

ベトナムビジネスに社会主義政治は影響する?

ベトナムの正式名称は「ベトナム社会主義共和国」です。政府の決定や当局のやり取りなどは、社会主義的なところはありますが、基本的にビジネスの世界では資本主義経済で動いており、活動が制限されることはほとんどありません。

産業構造・都市間の地域性の違い

産業構造・都市間の地域性の違い

ベトナムの経済はどのような産業で支えられているのか?ベトナムの中でも、地域でどのような違いがあるか?についてお伝えしていきます。

産業構造

ベトナムは、基本的には農業国家です。

サービス業や工業の発展により、農業のGDP構成比は縮小傾向にありますが、農業生産が経済を下支えしています。

品目としては、コメ・カシューナッツ・コーヒー・ゴム・コショウなどが有名です。

近年は外国直接投資による製造業が牽引して、GDPを牽引してきましたが、国内産業が育成できないことが長期的な発展に対するベトナムの課題でした。

そうした中で、地場のコングロマリットであるVin Groupが立ち上げたEV専業自動車メーカーVinFastは2023年に米国NASDAQ上場しました。今後外貨を稼げる自国の輸出産業としての期待がされています。

都市間の地域性の違い

ベトナムは、南北に国土が広がっており、北部のハノイと、南部のホーチミンで、地域性が大きく異なるのが特徴です。

ハノイホーチミン
伝統を大切にし、辛抱強い性格の人が多い↓消費より貯蓄、日本ブランド好きな人が多い一年中常夏の気候であり、おおらかで楽天的な性格の人が多い↓消費志向が高く、新しいもの・欧米ブランド好きな人が多い

このように同じベトナムでも、地域によって住民性に違いがあり、それに伴い消費傾向が異なります。

外国企業がベトナムに進出する場合、消費志向が高いことからも、ホーチミンから進出するケースがほとんどです。

ベトナムの小売・外食市場の動向

ベトナムの小売・外食市場の動向

ベトナム統計総局によると、ベトナムの外食市場は2019年に約586兆VND(約3.4兆円)、小売市場は2022年に約383兆(約2.2兆円)VNDの規模となっています。

小売市場・外食市場ともに、過去10年、毎年10−20%の成長率を維持しており、今後も成長が見込まれています。

従来、ベトナムの人々は伝統的な市場などで必要品を購入していましたが、中間層や富裕層の増加に伴い、彼らの新しい購買意欲に応えるスーパーマーケットやショッピングモールの増加が市場を大きく牽引しています。実際に、ハノイやホーチミン等大都市では伝統的市場が減少傾向にあります。

また、ホーチミン・ハノイを中心に、消費意欲が高い富裕層が増加したことも、小売・外食市場成長の大きな要因です。特に表にあるように富裕層の出費傾向を見ると小売よりも外食市場の方が多く出費している傾向にあります。

また人口の約16%(約1,600万人)にあたる世帯月収が1250USD以上の層の約98.5%は少なくとも月間で外食に100ドル(約14,528円*2023年1月8日為替レート)以上支出しています。

ベトナムの物価は日本の約3分の1で、日本の月間外食支出の平均が11,189円(2020-2022年平均,総務省統計局)であることからも、ベトナム人の購買力の高さが伺えます。

4. どういう商品が刺さっている?ベトナムの小売・外食市場の最新トレンド

トナムの小売・外食市場の最新トレンド

小売・外食市場でどのような商品が刺さっているか?についてお伝えします。

大きな特徴としては、以下の4つがあります

▼ベトナム小売・食品市場のトレンド・特徴

  • 安心・安全、健康への関心の高まり
  • フードデリバリーやECが成長し、加工食品市場の成長は鈍化。一方で、冷凍食品への抵抗感は減ってきており、需要が高まっている
  • 外食はより「特別な体験」を求める傾向に

安心・安全、健康への関心の高まり

コロナ蔓延がきっかけで「安心・安全・健康」の価値を人々が認識したこともあり、海外産の安全で良質な食材や健康食品の需要が高まっています。

具体的には、高級生鮮食品(牛肉、魚、果物)やサプリなどの人気が高いです。

フードデリバリー・ECの成長、コンビニや加工食品市場の成長鈍化。

ベトナムでは、フードデリバリー市場やECが急速に発展している一方、コンビニや加工食品市場は成長が鈍化しています。

そもそも、ベトナムの食文化といえば、「屋台料理」にあります。

ベトナムの人々は、伝統的に、朝から晩まで屋台で出来立ての温かい食材を食べることが生活に根付いています。

そのため、忙しい中でも、コンビニ食材や加工食品ではなく、フードデリバリーで屋台の温かい食材を食べたいと考える人が多いのです。

しかしながら、冷凍食品への抵抗感は減ってきており、需要が高まっています。

外食はより「特別な体験」を求める傾向に

外食では、より「特別な体験」を求める傾向にあります。

通常の食事代よりも、高い料金を支払ってでも、普段とは違う食事を食べたり、家族と特別な時間を過ごしたいというニーズが高まっており、高級おまかせ寿司や高級ステーキハウスなどが流行っています。

まとめ

今回は、ベトナム経済、小売・外食市場の概況を、現地のリアルな情報を交えながらご紹介しました。

ぜひ、この記事を参考にしていただきながら、ベトナム進出を議論していただければと思います。

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この記事を書いた人

スター・コンサルティング・ジャパン・STAR KITCHEN
代表

海外展開、洋菓子製造・販売専門家

プロフィール
スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。

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