【ベトナムでの経営者が語る】ベトナムでの人材採用4つのポイント

こんにちは。ベトナムで食品企業を11年間運営している荒島が、統計などのデータ上では分からない、現地の生の情報をお伝えするコラムです。

海外で事業を行うとき、人材採用は大きなポイントになります。

ベトナムへの進出をお考えの皆様や、現地採用担当者の皆様は、人材採用について下記のようなお悩みを持ったことはないでしょうか。

「ベトナムではどうやったらいい人材が集まるのだろう」

「エージェントに頼んでみたものの、これでいいんだろうか」

海外でいい人材を採用するためには、現地の人が就職の際に重視するポイントについて知っておく必要があります。

今回のコラムでは、ベトナムでの人材採用について4つのポイントをご紹介します。実際に筆者がベトナムで採用をしたときの経験を交えてお伝えしますので、ぜひ最後までご覧ください。

筆者プロフィール

荒島由也・スター・コンサルティング・ジャパン 代表 https://www.star-consulting-japan.com・STAR KITCHEN 代表  https://www.starkitchen-vietnam-gift.com/・独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業アドバイザー(新事業開拓)」神戸市海外ビジネスセンターアドバイザー、岩手県産業創造アドバイザー・日越外交樹立50周年”両国の未来を牽引する若者(U40) (2023)

1. ベトナム人の就職に関する考え方

ベトナム人の就職に関する考え方を知るためには、まず、国民性について知ることが必要です。ベトナム人は、勤勉で向上心がある人が多いです。また、戦争経験も影響してか、今の喜びを重視する考え方も浸透しています。

これらの傾向は、就職に関する考え方にも影響しています。向上心があって、今の喜びを自ら取りに行く意思が強いため、転職にも積極的です。安定性のために転職を避けるような考えはあまり見られません。

そのため、新卒でも中途でも、採用の際はそれらのポイントにアプローチすることで、効果的な採用ができるでしょう。特に管理職の採用ではその傾向が強まります。

2. ベトナムでの人材採用4つのポイント

それでは、ここからは具体的な採用のポイントについて4つお伝えします。

2-1. キャリアパスの明確化

1でお伝えした通り、ベトナム人は向上心が非常に強いため、採用側もそれに応えなければなりません。具体的には、キャリアパスをしっかり示すことが大切でしょう。個人の能力についてのキャリアパスはもちろん、会社全体の事業がどのように成長するかも示すと良いです。その事業が目指している将来像や価値観を共有することは、採用後の人材管理にもつながります。人材側も、彼ら自身が会社の中で何を担うかが分かるとやる気になるでしょう。

2-2. 適切な評価制度

1でお伝えした通り、ベトナム人には現在の喜びを重視する点もあります。そのため、した仕事を適宜しっかり評価してくれる体制が整っていることも魅力に映ります。キャリアパスと合わせて、評価制度や報酬についても具体的に説明するようにしましょう。

2-3. 適切な給料水準

ベトナムは日本に比べて物価が低いイメージが強いため、採用の際も人件費を低めに見積もってしまうことがあります。ですが、過剰に低く見積もってしまうと、採用がうまくいかない原因になります。

以前のベトナムは、労働力が安く、日系企業の製造拠点も多くつくられました。ですが、近年では人件費が上がっており、以前と同じ給料では人材が雇いにくくなっています。

ベトナムと日本の給料水準を比較すると、新卒はいまだ日本より低いですが、部長クラスは日本より高い傾向があります。人材を雇いたければ給料水準を適切なものにしましょう。

2-4. 消費者からの企業認知度の向上

現地での企業の認知度を上げることは、就職希望者を増やすためにも重要です。以前のベトナムでは、外資というだけで求人が集まりやすいこともありました。ですが、現在は経済成長に伴い、国内企業も求職者にとって魅力的な会社に成長してきました。

例えば、ベトナムでの働きがいのある職場ランキングである「Vietnam 100 best work places to work」を見てみましょう。2014年は上位を外資が占めていますが、2024年には国内企業が上位にランクインするようになりました。

もうひとつの特徴として、業種の変化もあります。2014年にはIT、自動車、金融といった業種が上位を占めていますが、2024年には食品や小売など消費者向けの企業が盛り上がってきていることが分かります。

昔は製造拠点など、消費者と直接の接点がない企業であっても求職者人気がありました。ですが、今は消費者自身がメディア等で情報を得て、知っている企業の中から就職先を探す傾向が高まっています。商品を売るときのみならず、求人においてもマーケティングの重要性が増加しているのです。SNSも活用しつつ、企業自ら発信していきましょう。

3. 今回のまとめ

事業を行う際、優秀な人材は成功に欠かせないポイントのひとつです。ベトナムで事業を行う際もそれは同じで、現地にあった評価制度や給与制度を考える必要があります。また、単に制度を整えるのみならず、求職者に企業や事業内容の魅力がしっかりと伝わるような発信をしていく必要があります。求職者への日ごろからの発信・知名度向上は、近年特に重要性を増しています。

今回のコラムが、ベトナムで事業を行う皆様の参考になりましたら幸いです。

また、採用した後の人材管理上のポイントについては、前々回のコラムでお伝えしていますので、ぜひそちらも合わせてご覧ください。

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この記事を書いた人

スター・コンサルティング・ジャパン・STAR KITCHEN
代表

海外展開、洋菓子製造・販売専門家

プロフィール
スター・コンサルティング・ジャパン代表、STAR KITCHEN創業者。ベトナムで料理教室、洋菓子製造・販売事業も展開。ホーチミン高島屋に店舗を持つ他、 スターバックス、セブンイレブンなどを取引先に持つ。