ベトナムで日本の魚介類は売れるのか?例とともに売り込むポイントを紹介

こんにちは。ベトナムで食品企業を11年間運営している荒島が、統計などのデータ上では分からない、現地の生の情報をお伝えするコラムです。
今回は魚介類に特化して、ベトナムで売り込むポイントをお伝えしていきます。
本コラムをお読みの皆様の中には、魚介類の海外輸出をお考えの方もいらっしゃるでしょう。もしかすると、検討の際に、このような疑問を持つことがあるかもしれません。
「日本の魚介類の美味しさは現地の人にも伝わるだろうか」
「現地には現地の魚介類があって、安いだろう。日本から輸出するとコスト負けしそうだ」
確かに、現地には現地に根付いた魚介類がありますが、決して、日本の魚介類が入る隙が無いわけではありません。むしろ、「海外の珍しい高級品」として高い値段で売れている事例も多くあります。日本の魚介類の品質の良さは、海外市場開拓の上で大きな強みです。
海外輸出を成功させるには、まずは現地の類似商品の状況について調べることが不可欠です。
本コラムでは、ベトナムで一般に食べられている魚介類の種類や食べ方、好みの味などをお伝えします。日本にいながら現地の生の情報が分かるコラムになっておりますので、ぜひ最後までご覧ください。

筆者プロフィール
荒島由也・スター・コンサルティング・ジャパン 代表 https://www.star-consulting-japan.com・STAR KITCHEN 代表 https://www.starkitchen-vietnam-gift.com/・独立行政法人中小企業基盤整備機構「中小企業アドバイザー(新事業開拓)」神戸市海外ビジネスセンターアドバイザー、岩手県産業創造アドバイザー・日越外交樹立50周年”両国の未来を牽引する若者(U40) (2023)
1.ベトナムでは魚介類を食べるのか
ベトナムも日本と同様、魚介類をよく食べる国です。漁獲量を見ると世界上位10か国に入っています。
淡水や汽水のものがよく食べられますが、海沿いでは日本で食べるような海水魚もいます。
淡水魚では、タニシ、エビ、カニ、雷魚、うなぎ、パンガシウス(チャー、バサとも呼ばれるナマズの一種)など様々な種類が食べられています。淡水魚は独特の匂いがするので、生臭くならないようにパクチーやシソなどハーブと一緒に料理することもあります。
ただし、流通の関係から、種類や鮮度については地域差があります。また、高級店では特に鮮度が高いものが扱われています。
2.ベトナムでの魚介類の食べ方
ベトナムでは魚介類は色々な方法で食べられています。味付けはさっぱりしたものが多く、ヌクマム(魚の発酵調味料)、甘辛いソース(甘辛味噌だれ、チリソース)、ハーブ類(パクチー、ドクダミ、ミントなど)、スパイス(こしょう、タマリンドなど)、とうがらし、にんにく、柑橘などが使われます。
具体的メニューとしては下記のようなものがあります。
- 鍋:そもそもベトナムでは鍋が大人気です。魚も具材として使われます。
- 煮込み:甘辛い味付けが人気です。土鍋煮込みカーコートー(Ca kho to)は名物料理です。
- フライ:日本のフライはソースをかけて濃い味で食べるイメージですが、ベトナムではフライも他の料理と同様あまり濃い味付けにはしません。魚の発酵調味料ヌクマムをかけて食べます。
- 練り物:イカやエビのすり身もよく食べられます。ハーブや野菜と一緒に食べたり、ライスペーパーに包んで食べたりします。
3.日本食レストランでの食事事情:寿司・刺身
ベトナムでは、元々生魚を食べる文化が浸透しているわけではありません(ただし、一部の地域では刺身の春巻きなどがあります)。ですが、近年では日本食レストランが人気で、寿司や刺身が食べられています。カツやラーメンなど専門店系のお店であっても、寿司や刺身を合わせて提供しているところが多く、日本食のなかでも大人気の料理となっています。
4.日本から魚を輸出する際のポイント
日本から魚を輸出する際は、輸送コストがかかるぶん値段が高くなるため、高級品として売ることになりやすいです。高級料理屋向けに卸す場合は、特に魚の品質が重要です。魚が傷まないような物流・管理を徹底する必要があります。
また、現地にない魚を売る際は、その良さが伝わるような説明を考えましょう。ベトナムでは、見た目の大きさ・立派さや、新鮮なこりこりした触感が大事なポイントとされます。バイヤーに現物を見せる際は、その点が伝わるような見せ方を心がけましょう。実際に食べてもらうことも大事です。
輸出の前の市場調査では、現地に実際に行くといいでしょう。現地の人に食べてもらい、反響を聞くのが大事です。都道府県が海外進出支援として現地展示会を開いている場合や、日本博のような日本に特化した展示会が開かれている場合もあります。機会を見逃さないよう、情報を日ごろから収集しておきましょう。
5.まとめ
ベトナムでは魚を食べる文化があるため、日本の魚介類も興味を持ってもらいやすいでしょう。現地日本食料理店では、寿司や刺身もすでに大人気です。現地展示会では、日本のカンパチやホタテなどの魚介類も積極的に出展されており、人気を集めています。
輸出にはどうしても物流等のコストがかかってしまいますが、高級品として高い価格で売れる十分なポテンシャルがあると言えるでしょう。
今回はベトナムでの魚介類販売・消費について一般的な事柄をご紹介しました。個別の商品については、弊社でも展示会への出展や、バイヤーとの商談などに関してご支援しておりますのでご相談ください。